ドードー鳥と冬の空(後編)

 そんな事を考えているうちに気が付けば2学期が終わって冬休みになって、もうすぐ年が明けるなあ、誕生日が来ちまうなあ、などと考えていると、階下の母親に呼び付けられて、何かと思いきや、ふぶきから電話だという。電話。ふぶきから。今までそんな事、一度もなかったってのに。

「今からうちにおいでよー」

 などと言う。ボクは戸惑いつつ、

「いきなり何だい。何の用?」

 と問うた。

「えーと。まあ、うん。電話じゃ言いにくいなあ。とりあえず、うちに来てくれないかなあ。駄目?」

 なんて。急に言われても。困る。何でふぶきのうちに行かなくてはならないのだ。あの素っ頓狂な親父の住む家に行くなんて。とは思ったが、結構切羽詰った感じのふぶきの声色に断る事もできず、ボクは、

「ああ、うん。分かった。行くよ」

 などと答えている。まあ予定もないし、いいか。暇だし。それにちょっと興味がないわけじゃなかったのだ。あの親父が住んでる家に。ふぶきの家に。

 という感じで自分に言い聞かせて頑張って前向きに考えながら寒い中、自転車を漕いでふぶきの家に行くと、薄っぺらな生地の服を着て当のふぶきが玄関先に立っている。

「お」

 ボクを見るなり、さっ、と手を挙げたふぶきは、嬉しそうに2度、ふわん、と飛び上がって、

「早いね。エッちゃん。さすがだね」

 などと言われて、ボクは自転車をその場に停めながら、

「そう? 結構のんびり来たよ」

 と答えた。

「へへへ」

 ふぶきが笑う。

「何だよ」

「へへへ」

 笑ってばかりで言葉を発しないふぶきに誘われて家の中、冬休みでボクらは休みだが平日だからオトナは働いてるはずなのに、玄関先には明らかに男の物と思われる靴が並んでおり、あれ? ひょっとして親父がいるのか、やっぱ。などと思う。好奇心はあったがやっぱり親父いるのは微妙だなあ、と思いつつ、

「どぞどぞ」

 とか言われて、ふぶきに案内されたのが居間っぽい部屋で、そこにコタツでぬくぬくしながら蜜柑を食っている親父が案の定いるのだった。何でまたこの部屋に案内するのだ。しかも、「お父さーん、エッちゃん来たよー」って、いきなり紹介めいた事をされて、「まま、座って座って」と促されて、ちょっとリラックスしていた風情の親父は急に居住まい正し始めて、何だ、これは。親父と面談か。いきなり。何のためだ。何目的だ。くそ。と、ボクの頭は混乱しまくって、「あ、ども」っていう声も上ずってしまって親父も困ったように会釈する。

「あ、これは、これは」

 と呟く親父は噂に聞いていた割にはとても大人しそうな普通の気弱そうなおっさんで、ちょっと拍子抜けした。一、二度、遠方から見た事のある親父は、顔を真っ赤にして小さな子供に怒鳴り散らしていたものだが、まるで別人である。

「じゃ、ちょっとコーヒー淹れてくるね」

 ってふぶきは言うし、ボクはわけも分からずただ座って親父と目が合うのも嫌だから微妙に顔を逸らしつついたら、親父の方が、

「今日は、寒いね」

 とか言う。いかにも世間話、って感じの話題だ。

「あ、そうですね」

「寒いとふぶきの奴は喜ぶんだが、年を取るとやっぱり厳しいもんだね……関節が痛くなるなんて、若い頃には想像も付かなかったけどね」

「はあ」

 一体何でこんな会話をしなくちゃならんのだ、と思いつつ適当に会話を合わせながら、この人いきなりブチ切れて暴れたりしないのだろうか、と少し不安だった。それくらい、今自分の目の前にいるふぶきの親父はイメージとは食い違っていた。

「君は、寒いのは好きかい?」

 問われて、どちらかと言えば嫌いなのだが、この場合どう答えたらこの人の機嫌を損ねないだろうか、などとそんな事さえ考えてしまう始末、結局悩みに悩んで、

「あ、ボクは別に。好きでも嫌いでもないと言うか。四季折々、その場その場を楽しむと言うか、ねえ。そんな感じで」

 とか適当に答えると、親父はうんうん頷いて、

「うん、うん。そうかい。いい事だ」

 と妙に納得してくれた様子でよかった。

 そのうちにふぶきがコーヒーを運んで来て、ボクの隣にもぞもぞと座って、

「へへへ」

 と笑う。何か相談があるんじゃないのか。それにしたってこの場で相談されてもボクも困るが、これはあくまで親に対する挨拶であってこの後、ふぶきの部屋に行ったりするんだよな? ん? 違うの? どうなの? という不安は募るが口に出してふぶきに問うわけにもいかず、ボクもふぶきに倣って、

「へへへ」

 と愛想笑い浮かべて数分過ぎる。何だこれ。

「で? 2人の付き合いは何年くらいだっけね?」

 と親父は唐突に言った。

「は?」

「うん、だから、ふぶきと君が」

「はあ、付き合いと言えば長いですが。幼稚園の頃からですし」

「いや、そういう意味じゃなくてね」

 という意味の分からないやり取りをしているうちにふぶきが、はは、と笑って、

「そうじゃないよエッちゃん。わたしとエッちゃんがいつから付き合ってるかって事だよ」

 などと言うのである。ますます意味が分からない。

「付き合ってるって、何? それは人としての付き合い云々じゃなくて男女の付き合い的なそれの事かな?」

「それの事だよ」

 と即答するふぶきに上昇志向だったボクの混乱係数は頂点に達して、漫画だったら頭から湯気が出てもおかしくないような状況だったと思う。正直。

 ふむ。

 しかし、だ。ここは冷静に考えてみようじゃないか、ボクよ。ふぶきの奇矯な発言には幾分慣れてきたボクよ。これくらいで慌てたりはしないよな。うん。慌てない。慌てずによく考えてみる。ボクはふぶきと男女の付き合いになったつもりはからっきしない。これっぱかりもない。だが果たしてふぶきの言葉から察する限りではふぶきはそうだと思っているようだ。たぶん。そしてその事を親父に話しているようだ。それでもってよく分からんが彼氏として紹介されてるんじゃないだろうか、この状況は。

「うーん」

 と唸りつつ、ボクは腕を組む。

 この場合、正直に言った方がいいのか? そんなつもりはござんせん、とはっきり意思表示した方がいいのか? しかし正直言うとそれは避けたい。何せ子供に殺すぞとか言う親父だ。いや、ボクは娘さんとそんな関係だなんて、はは、娘さんの勘違いですよ、などと話そうものなら本当に冗談抜きで殺されかねないではないか。しかしここで否定しておかないとそれはそれでふぶきを受け入れてしまう事になるではないのか。いいのか。それで。人生この方彼女とかできた事がないボクの初めての彼女がふぶきだなどというのはアリなのか? そりゃ美人だが。それは認める。それは認めるがどうなんだ。何でボクが彼氏みたいな話になってるんだ、そもそも。そんな勘違いさせるような発言したか? あるいはそんな行動があったか? ここ最近で? 分からん。分からん以上何とも言い難いが兎に角この状況が激しいピンチだという事だけは分かる。ああ、ドードー巡りだ。まったく。

「えー、うん、あの、まあ、何か、ね? 気付いたらこんな感じで、はは」

 結局、しどろもどろになりながらもボクはそう答えた。

「うん、うん」

 と頷く親父。ふぶきは相変わらずにこにこにこしているばかりで何かフォローしてくれるわけでもない。ボクはふぶきに恨みがましい視線を向けてみた。しかし、ふぶきはそれに気付く様子もなく笑みを浮かべたまま、

「へへ。わたし、エッちゃんがほんとに好きなんだ」

 などと言うのだった。好きって、そんな。予想だにしていなかった言葉にボクは顔が紅潮するのを感じる。ああ、何でそんなんで緊張してるんだ。ふぶきに好きって言われたくらいで、しかもこんなシチュエーションで、という感じでいくらか冷静になって落ち着いていたはずのボクの頭の中は再びぐちゃぐちゃのどろどろになって想像妄想疑念疑惑が浮かんでは消え浮かんでは消え、やがて溶け合うように入り混じり、ボクの思考はもはやいつものボクの思考ではなくなっている。

「ボクも、好きですよ。ふぶきの事」

 そう告げたボクの言葉に親父はうんうんと頷いて、

「よし、分かった。君なら安心だ。ふぶきをよろしく」

 とか言い出す始末、まったくわけが分からないがそんなこんなで親も認める公認の仲になってしまったのである。ふぶきと。

 そして脳内が混乱したままふぶきに手を引かれ家から送り出されて、

「ありがとねー、お父さんがどうしてもエッちゃんに会いたいって言うからー」
 などとふぶきに言われて、ボクはようやく我に返って、

「いや、ちょっと待て」

 とふぶきに言う。

「ほえ?」

「ほえ、じゃなくて。一体全体何でボクとふぶきが付き合ってる事になってるんだ?」

「え? 何で、って。だってわたしはずっとエッちゃんと付き合ってるよ?」

 と言ったふぶきは何やらくどくど話し始めた。それはボクとふぶきがまだ幼稚園にも通っていないような頃の話、母親のいないふぶきがボクに寂しい事を打ち明け、ボクがふぶきに、ボクが寂しい思いはさせない、と告げたという、話だけ聞けば微笑ましいエピソードであった。

「エッちゃんがああ言ってくれたから、わたしずっと寂しくなかったのに」

 ふぶきは当然のようにそう告げ、ふぶきの奇矯さには慣れっこになりつつあったボクもさすがに困惑せざるを得なかった。

「……そんな話、すっかり忘れてた」

 とボクは言った。正直言えば、話を聞いてなお、そんな事言ったっけ? という感じでうまく思い出せはしなかった。ただ、ボクはふぶきの妙なところで記憶力の良いところを知っていたし、何よりボクは確かに幼い頃ふぶきの事が好きだったのだ。まだふぶきの奇矯さに気付く前には。

「エッちゃん、ひどいよ……」

 ふぶきはそう言って瞳を潤ませて今にも泣きそうな風情で顔をしかめる。そんなやり取りをしていたのが桐島家の玄関先で、その時、唐突に玄関の扉が勢い良く開かれていたかと思うと、ふぶきの親父が扉の隙間から顔を突き出しボクを睨み始めたのだった。娘を泣かす者は許さんぞ、という決意に充ち充ちた視線だった。

「う。う」

 と肩を揺すり始めるふぶきの頭を撫でながら、ボクは必死でふぶきをなだめた。

「でもふぶきと付き合うのが嫌ってわけじゃないんだよ? 泣くなよ、頼むよ」

 親父はじっとこちらを見ている。ここでふぶきが完全に泣き出したら、あの親父はどうするのだろう。包丁や鋏を手にボクに飛び掛ってきたりするのだろうか。普通なら一笑に付すべきそんな考えも、しかしあの親父ならやりかねん、としか思えず、ボクは一層怖くなってしまう。

「泣くなよ。ふぶきが泣いてるの見るのはボクも悲しいから。ねえ」

 ボクの言葉にふぶきは上目遣いにボクを見上げ、

「だってエッちゃん、最近、冷たいんだもん。なんか。だからお父さんに相談したんだもん。でも家に来てくれたし好きって言ってくれたから安心したのにやっぱりひどいんだ。うう」

 などと言う。ははあ。思い返してみればこないだ隠し事があるとか言った折にふぶきはとても不服そうにしていたし、その上、あれだ。何で告白されても全部断るのだ、とか聞いちゃって、そんなのボクとふぶきが付き合ってるとするなら、まあ大変に失礼な質問ではある。

「うううう」

 と涙と鼻水垂らしながら唸るふぶき、ボクは背後の親父が一歩足を踏み出したのを音で感じて身を竦ませた。やばい。マジだ。あの親父は絶対に怒ってる。何をされるか分からん。と思ってふぶきの体を揺さぶる。

「だから。泣くなって。そんなの気のせいだ。ちょっと意地悪してみたかったんだ。ね? ボクだってそんな時もあるんだよ」

 ボクのその言葉に、ふぶきはピタリと泣き止み、ボクを見、

「……ホント?」

 と少し嬉しそうに言う。その顔は抜群に可愛くて、ふぶきをずっと知ってるボクでもちょっと、うっ、と息を呑む程だった。

「……うん」

「じゃあ、わたしの事、好き?」

「うん。好きだよ」

 そんな顔で尋ねられて、一体他にどんな答えの返しようがあるっていうんだ。
 そしてふぶきは完全に笑顔になる。

「いひ」

 というその笑い方も、いかにもふぶきらしいと言うか、何と言うか、少し変わっていて、ボクはふぶきの頭を撫でながら、考えようによってはこれは凄くラッキーな事なのかもしれないぞ、と考えたりしていた。ふぶきは美人だ。それは間違いない。喋らずにおとなしく座っていればそこらへんのアイドル並には可愛い。それは事実だ。そんなふぶきと付き合えるのだ。何の苦労もなく。多くの男達が特攻撃沈してきたこの難攻不落の天然美少女を、ボクのものにできたのだ。ただ幼馴染だというだけで。なんて前向きに考えようとしたが、やはりあれこれと不安は尽きないのも事実だった。満面の笑みを浮かべるふぶきの後ろに、まだ親父が睨んでいる。ボクは親父に愛想笑いを飛ばし、親父はそれを受けて訝しげな顔をしつつも扉の奥に消えていった。

「エッちゃん、好き」

 ふぶきはそう言って微笑み、ボクはふぶきの頭を2度撫でてからふぶきに手を振って家路に着いた。それから自分の部屋で眠った。ひどく疲れていて、起きているのが困難だったのだ。

 そんな事があった後、ふぶきとの関係が何か変わったかと言えばそれは否で、冬休み中だと言うのに、遊びに行こうという連絡もなくこちらから連絡する事もなく、そうこうするうちに誕生日がやってきて、同じ日に産まれたというボク達の共通点を互いに祝い合ったりなどもしなかった。以前に言われていたケーキをふぶきの届ける事さえしなかったし、それについて文句を言われたりもしない。一体、ふぶきの中で付き合うという関係がどのようなものなのかボクには分からないが、少なくとも今までの関係の中でさえふぶきはボクと付き合っていると思っていたようだから、今更デートしたりするのも妙な話に思える。プレゼントだってあげた事も貰った事もない。ボクとふぶきの関係は結局、何も変わらず今まで通りで、冬休みが明けてから学校でふぶきと会っても、昼休みに食事をしたりする以外では特に一緒にいるわけでもなく、本当に曖昧な関係のまま、ただ時間だけが過ぎていくばかりなのだった。

 ある時、登校途中に鉢合わせになってボク達は並んで学校に向かい、その途中、ふぶきはふと思いついたように、

「エッちゃんと結婚できるかなあ」

 と言った。ふぶきの奇言には慣れつつも、そこにボク自身が関わってくるとはあまり冷静でいられないボクは、思わず足を止め、むせて咳き込み、

「え? 結婚?」

 と問い返す。

「うん」

 よくそんな発想が出てくるものだ。結婚なんて。キスだってしてないってのに。

「さあ? 大人になったらできるんじゃないの?」

 ボクの投げやりな答えにふぶきは少し寂しそうに俯いて、

「エッちゃん、わたしと結婚したくない?」

 などと言う。

「まだよく分からないよ。結婚とか、そういうのは」

「そっか、そうだね」

「うん」

 それからボク達はまた歩き出した。歩きながら、ふぶきはボクの方を見ないままで、独り言のように呟いた。

「でも結婚できたら、新婚旅行はドードー巡りに行きたいな」

 ふぶきはどうやらとてもドードー鳥が気に入っているらしく、その愛くるしさについて、と言ったってそれはみんな想像の産物でしかないのだけれど、それを饒舌に語り、ボクはそれを聞きながらただ頷いていた。絶海の孤島の上、独自の進化を遂げていった、あのずんぐりとした体型の飛べない鳥が、一体何ゆえにふぶきをそこまで惹き付けるのかは分からないが、よくよく考えてみれば、ふぶきもドードー鳥も、どこか似たようなところがあるのかもしれないなあ、とふと思う。

 誰だってみんな年を取って、あれこれ考えて諦めたり妥協したり小賢しくなって、そうやってオトナになっていく。そんな中、ふぶきは幼稚園に通ってもいなかったあの頃、ボクがふぶきに寂しい思いはさせないと告げたというその言葉を無垢に信じ続けて疑わず、普通ならボクのその言葉が世間知らずな子供の無責任な発言だったと断じるところを、今になってなお、ボクの言葉を素直に受け止めたその瞬間の心さえ持ち続け、そしてボクとはその時からずっと恋人同士だと思っている。独自の進化を遂げた奇妙なドードー鳥のように、ふぶきはふぶきとして独自のオトナになり、そうして今、ボクの隣を歩いている。それがいい事なのか悪い事なのかは分からない。けれどドードー鳥はその奇矯さ故に見世物になったり、鈍重な故に人間やその他の動物に狩られていって、やがて絶滅してしまった。ふぶきの中に残っている無垢や純真は、ふぶきを傷付けたりはしないだろうか。ボクはただその事を案じるのだった。

 それともやがて、ふぶきもボク達と同じように無垢ではなくなって疑ったり諦めたり賢しくなって、どこにでもいるような凡庸なオトナになっていくのだろうか。その速度が、ただボク達とは異なるだけで。

 ボクにはよく分からなかった。

 ただ、ふぶきが今のような人間でなくなった時、きっとボクは寂しさを覚えるだろうという事は確かで、きっと、恋愛感情とは全く異なった感情で、ボクはふぶきの事を好きなのだろうと思う。言い方は悪いけれど、ある種の小動物を愛するように。

 その日もとても寒くて、けれどふぶきは相変わらず上着なんか羽織らずにセーラー服姿で平然と歩いている。風が吹いてスカートが揺れて、下着が見えそうになってもちっとも気にする様子なんかない。

 それにしても寒い日だ。ボクは首に巻き付けているマフラーを握るようにして身を縮ませた。

 ボクの少し先を歩くドードー鳥は、自分が傷付くかもしれないという可能性になんてまるで気付いていない様子で、無邪気に笑っている。ボクはできる限りこいつを見守ろうと決める。付き合うとか結婚とか、そんな事はどうでも良くて、ただ、この希少な存在が失われるのはちょっと勿体ないなと思っただけだ。

 空を見上げて白い息を吐くと、ふぶきは、へへ、と笑って飛び上がり、はだけた裾からへそが覗いた。ボクは何となく顔を赤らめてそこから目を逸らす。

 それから一瞬目を閉じて、ふぶきと一緒にドードー鳥を探しながら世界中を旅する様を想像して、それもあながち悪くはないかもしれないな、と思った。

 とても寒い、空が青くてきれいな朝だった。

(初出:角川書店発行「ザ・スニーカー」2007年2月号)